no image

ソロモン王は不思議な指環を持っていて、けものや鳥や魚や地を這うものどもと語ったという──

この本は、有名なソロモン王の伝説が題名についています。

いわゆるあまりに人間的なものは、ほとんどつねに、前人間的なものであり、したがってわれわれにも高等動物にも共通に存在するものだ(中略)どれほど多くの動物的な遺産が人間の中に残っているかをしめしているにすぎないのだ

ソロモン王のように、あらゆる動物と語ることはできないけれど、人の中にも動物の部分があるからこそ観察することで共感し、理解することができる。みんな心の中にソロモンの指環を持っている。

そんなことを感じながらこの本を読んでいました。内容も、冷静な観察に基づいた動物たちが生き生きと描かれていてすごくおもしろかったです。が、「文庫本化にあたってのあとがきと解説」には、こんなことばが!

旧約聖書によると、諸王の一人ソロモンはたいへん博学で、けものたち、鳥たち、魚たちに”ついても”語ったという(列王記1 4.23)。聖書のこの記述のちょっとした読み違いが、ソロモンは魔法の指環をはめて、けものども、鳥ども、魚ども”と”語った、という有名な言い伝えを生むことになった

えーーーーっ!!!! この伝説って、もとは勘違いなの???

…ショックでした(涙)

でも、コミュニケーションなんて、もとからそういうものなのかもしれません。勘違いと思い込みの繰り返し。

コクマルガラスの警告音を理解できずにさんざんな目にあうカササギも、シチメンチョウの降伏の態度が理解できずに攻撃し続けるクジャクも、みんなものさしの違いからくる悲劇なわけで…。

でも、この本を通して示される「冷静な観察者の目」は、たとえものさしが違っていても、相手を知り、自分を知ることで平和につきあえるようになることを教えてくれている気がします。さらには、その中から幸せな絆を結ぶことができるようになるかもしれないということも。

著者のローレンツはすでに亡くなって、彼の打ち立てた動物行動学も今はすっかり様変わりしているそうですが、この本に描かれている感動は、きっとずっと変わらないんだと思います。

この記事、いいなと思ったらシェアしてね
  • Facebook
  • Hatena
  • twitter
  • Google+