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小さい子どもは大きく身長が伸びるので、「骨の材料となるカルシウムはちゃんととらなきゃね」と意識がいきますが、大人になったら骨なんて特に変化することはないんじゃない? って思いますよね。
骨が弱くなって骨折したりするのはお年寄りの話みたいだし…
なんて考えがちですが、骨の健康って意外と全ての年代で気にする必要があるみたいです。
例えばカルシウムも、「骨を作る」、「骨を壊して利用する」という骨の代謝が正常に働かないと、食事からしっかりカルシウムをとっているつもりでも、うまく骨になってくれないということもあるようです。
それぞれの年代で、骨の健康についてまとめてみました。
子ども時代の骨の成長って意外と大事
骨折を防ぐためには、骨の量を増やして丈夫にすることが大切です。
骨の中のカルシウムなどの量は年齢と共に変化していて、20歳ごろにピークを迎え、年齢とともに減っていきます。つまり、20歳以降は歳を重ねるごとに骨はだんだん弱くなっていくんですね。
年齢を重ねて、骨が弱くなってきた段階で、骨の量を急に増やそうとしてもなかなか増やせないこともあって、骨粗鬆症の研究では、骨を形成する思春期が注目されるようになっています。
骨が増えていく成長期に骨にいいことをすると、無理なく骨の量を増やすことができるというわけです。
ピーク時に骨の量をしっかりと作って、その後も運動、食事、睡眠などを適度にとって骨が減らないように努力することで、骨折の危険を防いでいこうという考え方で、「骨貯金」と呼ばれています。
ですが、厚生労働省の各調査によると、外食・中食が多い食事や、22時以降の就床が多い睡眠時間、運動をしている子どもと運動をしていない子どもの二極化などなど、現在の日本の生活習慣は子供にとってはあまりい環境とは言えないみたいです。
最近はUV対策で、日光に当たる機会が少なくなる心配が指摘されているのも気になるところ。骨の健康に関しては、意識して整えていく必要があるようです。
※体内でビタミンDを作るためには、ある程度日光に当たる必要があります。「紫外線環境マニュアル2015」では、日焼けを避けることで乳幼児のビタミンD欠乏症が増加していることが指摘されています。日光浴や食事からビタミンDをとるのが難しい場合、サプリメントの活用も紹介されています。
現役世代の骨の健康も意外と大事
カルシウムというと、「骨」や「歯」をイメージしますよね。でもほんの少しですが血液の中にもカルシウムがあって、身体の中で大きな働きをしています。
例えば、こんな感じ。
・血液の凝固
・筋肉の収縮
・ホルモンなどの分泌
・細胞分裂や細胞活動
この他、受精、代謝、免疫などでもカルシウムが必要です。
なので、「なんかカルシウムが足りなくなってるみたいだけど、晩ご飯まで待っててくれる?」なんていうわけにいきません。
からだの中のカルシウムが足りなくなると、骨や歯からカルシウムイオンが溶け出して、体内のカルシウムイオンを一定に保つように働きます。反対に、あまったものはいざというときのために蓄えられていきます。
骨はからだを支える大切な組織ですが、カルシウムの貯蔵庫という性格もあるんですね。
というわけで、骨は毎日少しずつ、古いものから新しいものに入れ替わっていて、これを骨の代謝といいます。雪印メグミルクのサイトによると、成人では3年もすると、全身の骨はすっかり新しいものに変わっているそうですよ。
現役世代は、こうした骨にとっては成熟期。骨をつくる力と骨を壊す力のバランスが大切になってきます。
とはいうものの、現役世代は忙しいので、骨のためにバランスのいい食事や適度な運動、適度な睡眠を心がけなくてはいけないと言われてもなかなか思うようにいきませんよね。
学校給食で栄養面をカバーしている子供世代や、この後書くように健康に対して意識の高い高齢世代と違って、厚生労働省の国民健康・栄養調査結果の概要(平成27年)を見ても、うっかりしているとカルシウムがいちばん不足している年代になっています。
栄養素等摂取量(2015年版)のカルシウムと、日本人の食事摂取基準(2015年版)概要のカルシウム食事摂取基準のカルシウム推奨量を並べてみると、こんな感じ。お年寄りに負けてます(汗)
1-6歳 468mg/日 (推奨量 450~600mg/日)
7-14歳 689mg/日 (600mg~1000mg/日)
15-19歳 578mg/日 (800mg/日)
20-29歳 473mg/日 (800mg/日)
30-39歳 443mg/日 (650mg/日)
40-49歳 459mg/日 (650mg/日)
50-59歳 493mg/日 (700mg/日)
60-69歳 550mg/日 (700mg/日)
70歳以上 570mg/日 (700mg/日)
1-6歳 401mg/日 (推奨量 400~750mg/日)
7-14歳 620mg/日 (550mg~800mg/日)
15-19歳 434mg/日 (650mg/日)
20-29歳 427mg/日 (650mg/日)
30-39歳 430mg/日 (650mg/日)
40-49歳 454mg/日 (650mg/日)
50-59歳 499mg/日 (650mg/日)
60-69歳 568mg/日 (650mg/日)
70歳以上 546mg/日 (650mg/日)
全体の傾向で見るとこんな感じですが、家族の食事を作る人がカルシウムの少ない献立を作ってしまうと、家族全員がカルシウムの少ない食事になってしまうわけだから、その影響はかなり大きいですよね。気をつけねば。
特に女性の場合、無理なダイエットが原因となって、骨をつくる働きが弱くなっていることもあるので要注意です。
高齢期は年齢に合った骨の健康維持が大切
20歳のピークを過ぎると、骨の量は段々低下していきます。
年齢を重ねると、消化・吸収やエネルギー代謝が減っていくのに加え、腎臓で排泄されるカルシウムの量が増えることが影響していると考えられています。
特に女性の場合、閉経でホルモンバランスが急に変わる影響で、この時期は骨の量が大きく減少してしまいます。
骨が弱くなってきた段階で骨の量を増やそうとしてもなかなか増やせないことが知られていますが、年齢に合わせた運動に取り組んだり、現役世代に比べてより一層カルシウムに配慮した食事をするなどの工夫が大切になってきます。
でも、厚生労働省の厚生白書によると、実は若い世代よりお年を召した方のほうがカルシウムは意外ととれていることが指摘されています。
運動も、健康のために日ごろから何らかの実践をしている人の割合が、若い年齢層に比べるとずっと高いのだとか。骨粗鬆症などの健康問題が意識されている影響なのかもしれませんね。
骨の健康では意識が高いといえる高齢世代ですが、骨の生まれ変わりがきちんと行われるように、他の世代と同じように、睡眠や食事、運動といった基本的な生活を整えていくことが大切。
食事からのカルシウムは吸収しにくいものが多いので、サプリメントを活用するのもよさそうです。
まとめ
カルシウムが重要な年代は? と聞かれて、実は答えは全員だったという… クイズとしてはどうなんそれという結果ですが(汗)
でもやっぱりカルシウムのイメージとしては、成長が大切な子供世代や、骨の健康が気になる高齢世代だけの問題と思いがちですよね。
かえって不摂生になりがちな現役世代は、後に控える高齢世代に備えてより注意する必要がありそうです。
【参考サイト】
- 厚生労働省 生活習慣病余郷のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」
- 紫外線環境保健マニュアル2015 / 環境保健部 パンフレット一覧
- 厚生労働省 厚生労働白書一覧
- 厚生労働省 日本人の食事摂取基準
- 厚生労働省 国民健康・栄養調査
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