お肌の影響に比べると、紫外線の目に対する影響は見過ごされがちです。
これは、「日本人の瞳は紫外線に対して防衛力が高い器官の一つ」だからということがあるかもしれません。
角膜(黒目)を構成する角膜細胞は、実はお肌と同じようにターンオーバーを繰り返して生まれ変わっています。普通に生活していて受ける紫外線の影響は、通常ならこのターンオーバーで回復することができます。
しかも日本人の場合、黒目の部分にはメラニンが多く存在するので、ある程度の紫外線はメラニンが吸収してくれるんですね。
でも、顔の構造でいうと、日本人は紫外線の影響が意外と大きいことをご存じですか?
つまり、のっぺりして彫が浅いので(汗)そうした構造からいうと、紫外線の影響を受けやすいのです。
金沢大学の佐々木洋教授によると、ほお骨を結んだラインから目がどれくらいくぼんでいるのか、日本人と欧米人の標準的な顔立ちで比べると、日本人は5mm、欧米人は10mmと、けっこう大きな差があるのだとか。
目が浴びる一日の紫外線の量を比較しても、日本人は欧米人の1.66倍の量を浴びているそうです。
しかも近視の人の場合、構造的に眼球が飛び出しているので、普通の人よりももう少し紫外線対策には気を配ったほうがいいみたいですよ。
紫外線の影響は短時間でも注意が必要、日常生活では昼間より朝夕に注意
目の影響で紫外線対策を考えると、先に紹介した金沢大学の佐々木洋教授によると、朝夕の対策が重要になるようです。
のっぺり顔の日本人ですが、それでも紫外線量がもっとも多い12時前後になると、おでこや瞼が日差しを遮ってくれるので、目に直接入ってくる紫外線はずっと少なくなります。
でも、朝夕の時間帯は、太陽がまだ低い位置にあるので、紫外線は光と共に横から差し込んできます。こんな時間帯は、紫外線が直接目に入ってくる恐れがあるので要注意。紫外線が目に入る量は、9時ごろと、14~15時が最大となるそうです。
オフィス街のような環境だとビルの窓からの照り返しもあって、紫外線が乱反射している可能性があるので、この点も注意する必要があります。
対策としては、紫外線をカットするメガネやサングラス。反射して目に入ってくることを考えると、横や斜めの角度もしっかりカバーするようツルがしっかりしたものがいいみたいです。
ちなみに環境省の「紫外線環境保健マニュアル」でも、短時間に紫外線を大量に浴びすぎたり、長い間、紫外線を浴び続けると、炎症を起こしたり目の病気につながる恐れが指摘されています。
ただ、紫外線のほとんどは角膜(黒目)や水晶体で吸収されて、水晶体を通過して網膜まで入ってくるのは残りの1~2%程度ということなので、意外と眼の中は防御されているみたいです。
目から入る紫外線がメラニンを生む!?
ただ、ちょっと気になるのはこの話題。「目から入る紫外線がメラニンを生む」という話は、最近、ちょっと注目されているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
もとになっているのは、2001年に発表された大阪市立大学の井上正康教授の研究チームのレポートです。
マウスに紫外線を照射する実験で、目にしか紫外線を照射していないマウスの皮膚にもメラニン色素が発生していて、皮膚の一部に紫外線を照射していたグループと比べてもメラニン発生量がほとんど変わらなかったという報告がありました。
角膜(黒目)が軽い炎症を起こすことで刺激になり、それが脳下垂体に伝わって、防御反応としてメラニンを作る命令が全身に伝えられると考えられています。
人の場合だと、どれくらいの影響になるのかははっきりわからないみたいですが、注意しておきたい話です
次のページでは、子どもの紫外線対策について、最近の考え方をまとめてみました。