紫外線が1年でもっとも多い月は、いつごろになるかご存じですか?
普通に考えれば、7~8月くらいの夏ごろと思いますよね。でも、コスメ情報に敏感な人だと、「5月くらいから紫外線が多くなる」なんて話を聞いたことがあるかもしれません。
実はこれ、UV-Aを見ているか、紫外線全体を見ているかで違うんです。
7~8月くらいに紫外線量が多くなるのは紫外線全体で見た場合
気象庁が発表する「UVインデックス」は、そもそもUV-AとUV-Bを分けて見ていません。
もちろん、紫外線の波長によって、人体(皮膚)への影響は違うので、波長別の紫外線の強さと、人体の影響を相対的に見たものをもとに、「紅斑紫外線量」(こうはんしがいせんりょう)が計算されます。
UVインデックスは、こうして算出された「紅斑紫外線量」をさらに日常的に使いやすいように指標化したものなんですね。
というわけで、つくばで観測された、一年を通して見た紫外線の季節変動はこんな感じになります。UVインデックスの7月~8月の辺りが高くなっているのがわかりますよ。
グラフの赤い線を見るとわかるように、紫外線全体で見ると7月~8月の紫外線量が多いということになります。
(統計期間:1994~2008年)
(参考)平成26年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書上の関連記述
ところで、UVインデックスの上にあるオレンジ色の点線は、「全天日射量」(ぜんてんにっしゃりょう)になります。これは、空全体から降り注いでくる「太陽の光の量」のことをいいます。
この線をよく見ると、5月にずいぶん大きな山がありますよね。こんなふうに山ができるのは、太陽の高度が高くなって、晴れた日が多くなるためです。だから、コスメ情報では、「紫外線は5月に最も多い」「5月の紫外線は真夏とほぼ同じ」と言われるわけですね。
でも、UVインデックスで見ると、5月って意外と小さな値なんですよ。なぜでしょう?
オゾン層の影響でUV-Bは大きく変わる
それは、表の下のほうに併記している、「オゾン全量」のグラフがポイント。オゾン層は紫外線の一部を吸収してくれるので、地上に降り注ぐ紫外線を抑えてくれるのです。
オゾンは太陽が強く当たる赤道付近で、6~11月にかけて活発に作られます。これが地球規模の循環にのって中高緯度へと流れてくるので、日本では春ごろにオゾン量が最大を迎えます。なので、5月ぐらいはまだオゾン量が比較的多い状態なんですね。
このため、オゾン層に吸収されるUV-Bは、5月はまだ少ないままで過ごすことができます。
ただ問題は、シミやシワの発生に大きくかかわるUV-Aは、オゾン層での吸収がほとんどないので、そのまま降り注いでいることになります。
つまり、5月のUVインデックスが表している量は、UV-Aの量とイコールと言えそうです(汗)
このためコスメ的には、「5月にはすでに紫外線の量が多くなっているので対策を!」といったことが呼びかけられているわけです。
そんなわけで、UV-Aを考える場合は5月からの対策が必要。6月は梅雨で曇りがちになるので、遮られるUV-Bの対策は5月に引き続きそれほど気になりませんが、関係なく降り注ぐUV-Aの対策は必要。そしてUV-Bの影響も出てくる7~8月は、UV-Aに合わせてUV-Bの日焼け対策もしていく必要がある、ということになります。
天気もよく、日本上空のオゾン量も減少してくるので、紫外線量としては7~8月が年間で最も多くなります。
ちなみにオゾン量は秋にもっとも少なくなりますが、このころには全天日射量も減ってくるので、UVインデックスも小さくなっていきます。紫外線対策も、ここでやっとひと段落ですね。
このように、季節で変わる紫外線ですが、天候によってもけっこう影響があるんですよ。こちらの記事を参考にしてみてくださいね。