熱中症は5月でも注意が必要

お医者さんのイメージここ数年、夏になるとめまいがするほど暑い日が続くことが増えてきました。日中もそうですが、ヒートアイランド現象の影響などで夜になっても気温が下がりにくくなっていることも大きく影響しています。

暑さが体に慣れていないうちは、5月くらいから熱中症の注意が必要です。総務省の発表によると、平成29年(5月~9月)の熱中症による救急搬送は累計52,984人だったそうです。昨年同期間に比べると、2,572人も増えているのだとか。

「5月からって、ずいぶん早いなー」と思う人も多いかもしれませんが、実は平成26年までは調査データも6月からだったんだけど、平成27年からは5月も入れて統計をとるようになってるんですよ。

実際、5月の時点で、かなりの方が搬送されているみたいです。

平成27年 2,904人
平成28年 2,788人
平成29年 3,401人

というわけで、夏の暑さ対策は5月くらいから始めるのがおすすめです。

ところで、熱中症ってどんな状態?

熱中症とは、体内の水分・塩分などのバランスが崩れたり、体内の調節機能の働きが悪くなって起こる障害の総称です。

症状が重いと死に至ることもありますが、意識して防ぐことができる病気でもあります。

熱中症が起こるとき

太陽のイメージ体内で熱が発生すると、血液にのって体の表面に移動します。そして、皮膚から体の外に放出されていきます。こうして体温が上がり過ぎないように常に調節されています。

でも気温が高い日や、ムシムシする日、きつい日差しがある日、風がない日といった条件が重なると、こうした体の調節機能がうまく働くことができなくなり、体が熱いままになってしまいます。

なんとかして熱を放出しようと、皮膚のすぐ下の血管が広がって、たくさんの血液がそこに留まってくるので、皮膚が赤く見えることがあるかもしれません。

こうなると、熱を運ぶための血液が足りなくなってきます。汗をかいていると、体内の水分量も減ってきます。

体から水分が減ってしまうと、筋肉、脳、肝臓、腎臓といった重要な組織に血液が十分に行き渡らなくなるので、こむら返りを起こしたり、頭がぼーっとしたり、肝臓や腎臓の機能に障害が出たりします。

体温が高い状態が続くと、その他の臓器の働きを悪化させる恐れもあります。

熱中症になりやすい人をあげると、こんな感じになります。

・脱水状態にある人
・高齢者
・肥満のある人
・過度に衣類を着ている人
・普段から運動をしていない人
・厚さに慣れていない人
・循環器などの病気がある人
・体調の悪い人

上記の条件にあてはまる人は、体温の調節がうまくいかないことが多いので、熱中症には要注意です。

熱中症対策は5月から

五月のイメージこうした熱中症は、真夏の炎天下で起こるとイメージしてしまいがちですが、実は5月に熱中症が発生することがあります。

5月は一年でいちばん気候がよさそうな時期なのに、ちょっと意外ですよね。でも、湿度や気温などの条件が重なってくると要注意です。環境省熱中症予防情報サイトでも、WBGT(暑さ指数)の配信が5月から始まるので要チェックです。

WBGTというのは、「Wet Bulb Globe Temperature」の略で、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に注目した指標で、熱中症予防の目的に使われる数値です。

ちなみに単位は気温と同じ「摂氏度」で表示されているのですが、気温とは異なる値なので要注意です。

(参考)環境省熱中症予防情報サイト

「WBGT」の要素としては、以下の3つが取り入れられています。

(1) 湿度
(2) 周囲の熱環境(日射・輻射(ふくしゃ)など)
(3) 気温

要素の中に「湿度」があることからわかるように、5月のように気温が比較的低い日であっても、湿度が高いとWBGTも高くなるので熱中症に注意するが必要があります。

こんな時期は、夏と違って以下のポイントに注意する必要があります。

・その日の予想最高気温はどれくらいになるのか?
・前の日と比べて気温差はどれくらいあるのか?

前の日の気温差が大きくなると、やはり体の負担は大きくなるもの。こまめな水分補給が必要になってきます。

ついつい気温が低かったり、カンカン照りでなかったりすると、「これくらいなら大丈夫かな?」と軽く判断してしまいがちですが、そんな日でも意外とリスクの高い日があるんですよね。

熱中症対策には、「WBGT」のようなきちんとした指標を活用することも大切です。

特集・夏の暑さ対策 豆知識
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